2009年10月01日(木)
新「しきしま級」巡視船:概算要求概要から分析する
 各省庁が8月末までに出した平成22年度予算概算要求は民主党政権によりすべてが白紙となり、海上保安庁の概算要求も今後どうなるか不透明です。

 しかし、海上保安庁ではすでに遠洋海域対応強化の方針を打ち出しており、2週間後までに再提出される概算要求でも再び同様の計画になるという想定のうえで、今回から数回にわたって新造船「(改)しきしま」級巡視船についての記事をアップしていきたいと思います。

 まず、初回は海上保安庁が発表した概算要求概要に掲載されている内容から、「しきしま」級巡視船について分析していきます。



平成22年度海上保安庁関係予算概算要求概要

最初に、今回の要求についてどのような方針で打ち出されたのかが書かれています。

1.要求の基本的考え方

 平成22年度概算要求に当たっては、「経済財政改革の基本方針2009」(平成21年6月23日閣議決定)を踏まえ、海上における安全・安心の実現に向けた海上保安体制の充実強化を図る。
 平成18年より行っている老朽・旧式化した巡視船艇・航空機等の緊急整備を引き続き進めるとともに、特に、国内MOX輸送警備、尖閣諸島等における海洋権益の保全、大陸棚延伸にともなう管轄海域の拡大、海賊への対応など新たな業務課題を踏まえ、遠方海域・重大事案への対応体制を強化するため、しきしま級巡視船を整備する。
 ここで既に、しきしま級巡視船を何のために建造するのか簡単に説明しています。つまり、既存の老朽船対策ではなく、それと平行して拡大する任務へ対応することを(名目上は)目的としているわけです。

 そのため、しきしま級の建造は通常の巡視船艇航空機の整備計画とは別の新規事業とされています。


重要事項
1.遠方海域・重大事案への対応体制の強化

7,989百万円

 遠方海域・重大事案への対応体制を強化するため、被害制御・長期行動能力等を備えたしきしま級巡視船を整備する。

・ヘリコプター2機搭載型巡視船 1隻
・搭載ヘリコプター 2機

※平成22年度は、国庫債務負担行為(4ヶ年)約320億円の初年度分を要求。


 
主要目
全長約150.0メートル
幅約17.0メートル
深さ約10.0メートル

主な特徴
・被害制御能力
区画の細分化、重要機器の分散配置等により被害を限定することで、業務継続が可能
・強力な制圧力
前後部に機関砲を装備することで全方位に対処可能、かつ遠距離からも正確な射撃が可能
・長期行動能力
約2ヶ月程度、無寄港で連続行動が可能
・大型のヘリ2機搭載
赤外線捜索監視装置、捜索用レーダーの搭載により、夜間監視・広域監視が可能
積載重量に余裕があるため、人員・資機材の輸送能力が高い


 なんか「しきしま」に無理やり合成した(ふたば軍板でも見かけないような)やっつけなコラなんですが・・・。一応これを元に考えていくこととします。


 最初に目に付くのは前後のエリコン35mm連装機関砲が(「あそ」型「ひだ」型と同じ)40ミリ機関砲(FCS)=ボフォース40mmMk3機関砲になっていること。これは、この新しきしま級が高速高機能巡視船と同様の特殊な仕様であることを示しています。というのも、「はてるま」型以降は海保の大型巡視船の標準武器が30mm機関砲に統一されると考えられていたからです。新しきしま級はかなり大型のため速度は高速高機能巡視船ほどのものを期待できませんが、この40mm機関砲を前後に搭載することにより全周への(対武装不審船)アウトレンジ射撃能力を備えているといえます。


 続いて、前部40mm機関砲の後ろに搭載された20ミリ機関砲(RFS)。一見すると、「しきしま」と変わっていないようにも思えますが、こちらも「やしま」「だいせん」「りゅうきゅう」やPM/PSに搭載されているRFS20mm機関砲に変わっているようです。「しきしま」に搭載されていたものとの違いはペリスコープの有無です。

 これら二つは説明にあるとおりFCSやRFSによって管制されているのは当然ですが、さらに遠隔監視採証装置とも連動していると思われます。この装置はおそらく「あそ」型「ひだ」型などに搭載されているレーザーレーダだと思われます。今回、武器の性能が向上したのはこの装置によるところが大きいかもしれません。

 さらに言えば、この赤外線やレーザなどの光学系センサの充実が「しきしま」には存在していた「とある装置」を不要としてしまった可能性もあります。それは対空レーダーです。「しきしま」ではメインマストの中ほどに海自が制式採用しているOPS-14が装備されていましたが、事前に予測があったとおり対空レーダーは今回搭載しないようです。光学系センサによって三次元捜索が可能と考えているのか、経空脅威に晒される可能性がないと思っているのか、はたまた、OPS-14を新規調達できないからなのかは不明です。


 そして搭載ヘリは「しきしま」と同様のスーパーピューマ級・・・といっても全く同じAS332ではなく関空基地のEC225だと考えられます。


 主要目は「しきしま」とほぼ同様の数値です。

参考:世界の艦船より

巡視船「しきしま」
総トン数:7,175トン
全長:150.0メートル
最大幅:16.5メートル
深さ:9.0メートル
 主な特徴としては、海賊対策の議論でも問題化されたダメージコントロールを重視しているようです。また、洋上補給には頼らずに無寄港での長期行動を前提としています。

 搭載ヘリについては関空基地のEC225と違って当初より赤外線捜索監視装置だけでなく、捜索用レーダーも搭載するとのこと。これは、本来日本近海であれば、レーダーによる広域捜索は固定翼機に頼ることができますが、遠洋で単独の長期行動中にそれは期待できないため、搭載ヘリが広域捜索を行う必要があるということなのでしょう。


 続いて「新たな業務課題」についても書くつもりでしたが長くなりそうなので次回に・・・。
2009年10月1日 23時02分 | 記事へ | コメント(3) | トラックバック(0) |
| 海上保安庁 |
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>別の新規事業

なんかこの船の予算請求が
「ソマリア沖に巡視船?んな余裕あるわけねーだろボケ」
という海保の叫びに聞こえてくるようなこないような。
気になる事故です
http://blogs.yahoo.co.jp/bell214b1989/56816337.html
構造上の問題とするとホバリング中に起きる可能性が高いのでしょうか
kajyaさん、コメントありがとうございます。

まぁ、当時の野党に「なぜ船がないんなら建造しないんだ!」と叩かれましたからね。当然、与党になったからには作らせてくれるんだろう?とw


海猫さん、コメントありがとうございます。

海保機で実際に運用中に同様の事故が起きたら・・・と思うとゾッとしますね。AW139に限らずヘリというのは実はものすごく脆弱な航空機だという認識を新たにしました。
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